コロナ禍の希望の光?ポジティブ心理学を活用してメンタルケアしよう
2021/02/14
こんにちは。
株式会社マルション・アンサンブルのブログです。
新型コロナウイルス感染症に対する社会的な不安やテレワークや外出自粛など、今までと異なる生活スタイルになったことから、精神的に不安定になる方が少なくありません。そのため、精神的なストレスに対して上手に向き合ったり、精神状態を正常に保つべくセルフマネジメントの重要性が高まってきています。
今回は、コロナ禍におけるポジティブ心理学の重要性についてまとめてみました。「新型コロナウイルスに対する恐怖・不安がある」「コロナウイルスのせいで何もかもが上手くいかない」といった悩みを抱えている方でも、ポジティブ心理学を学ぶことで少しずつ改善していくことができます。
目次
- ○ 新型コロナウイルスに対する恐怖
- ○ RE-COVER Projectと調査結果
- ・コントロール感(Sense of control)との関係について
- ・成し遂げる力(Grit)との関係について
- ・自己への優しさ(Self-compassion)の関係について
- ・調査結果
- ○ 新型コロナ感染症と心理的レジリエンス
- ○ 最後に
新型コロナウイルスに対する恐怖
新型コロナウイルス感染の不安やコロナウイルスに関する報道を目にすると恐怖を感じてしまう人が増えてきています。新型コロナウイルスに関する恐怖は「fear of COVID-19」とも呼ばれており、心理学の分野でも世界中で研究が行われています。
最近の研究では、コロナ恐怖の構造に関するモデルが提唱され、新型コロナウイルスに対する恐怖は、大きく以下の4つの要素に分けられると言われています。
・身体領域の恐怖:身体的な接触や感染に関することによって生じる恐怖のこと
・対人領域の恐怖:「知人が感染してしまう」「自分が誰かに感染させてしまう」といった恐怖のこと
・認知領域の恐怖:新型コロナに関する情報や報道によって生じる恐怖のこと
・行動領域の恐怖:新型コロナにより活動できなかったり、反対に不安で過活動になる恐怖のこと
上記のように、新型コロナウイルスに対する恐怖はどのような要因によって生じるのかという研究は多くされ、明らかになりつつあります。
しかし、どのような人がコロナ恐怖を減らすことができるのかという研究は明らかにはなっていません。(研究中になります)
RE-COVER Projectと調査結果
RE-COVER Project(REsiience to Covid-19 in Each Region)とは、筑波大学の「知」活用プログラムが研究支援する、コロナ疲れと心理的レジリエンスに関して行われた研究のことです。現在は、日本・中国・アメリカ・マレーシアを対象に調査が実施されています。
RE-COVER Projectでは、ポジティブ心理学で研究されてきた「心理的レジリエンス」と、コロナ恐怖および精神的健康との関連について様々な国と地域で行い、心の回復力を高める要因を明らかにすることを目標としています。コロナ禍で適応している人の特性がわかれば、コロナ禍で元気がなくなっている方への支援になることからRE-COVER Projectが発足されました。
これまでに、日本とマレーシアにおいて、予備調査(Sugawara,2020)が行われ、そこで報告された調査結果でも特に、コントロール感(Sense of control)、成し遂げる力(Grit)、自己への優しさ(Self-compasson)に注目して解説していきます。
<出所>
RE-COVER | Resilience to COVid-19 in Each Region
コントロール感(Sense of control)との関係について
コントロール感とは、「自分のとった行動や環境への働きかけがうまくいく」という感覚のことを指し、コントロール感がある人ほどストレスに強い特徴があります。
調査結果から、コントロール感はコロナ恐怖により少しだけ低下することを示していました。
成し遂げる力(Grit)との関係について
成し遂げる力は、「やり抜く力」とも言われ、長期間にわたり、目標達成のために取り組む力のことを指します。「興味の一貫性」と「努力の粘り強さ」との2つの要素に分けられます。
精神的不健康とコロナ恐怖により、「成し遂げる力」「興味の一貫性」を減少させる一方で、「努力の粘り強さ」に影響はしないことを示していました。
自己への優しさ(Self-compassion)の関係について
自己への優しさとは、困難な状況において自分に生じた苦痛をありのままに受け入れ、その苦痛を和らげ、幸せになりたいと願う、自分との肯定的な関わり方のことを指します。
自己への優しさは複雑なので、様々な要素に分けられますが、今回は「自己への温かさ」と「自己への冷たさ」という2つの要素に分けて結果が示されています。
調査結果では、「自己への温かさ」はコロナ恐怖と精神的不健康に関連は見られませんでしたが、「自己への冷たさ」が増加していることがわかりました。
調査結果
以上の結果は、一時点の調査結果であることから明確な因果関係を示しているわけではありませんが、コロナ恐怖の減少と精神的健康の維持・増進に繋がることが考えられます。
自分の日々の行動をコントロール出来ている感覚を維持しつつ、コロナ禍でも自身の趣味を続け、過度に自分を否定したり、孤独感を感じないようにすることが、コントロール感・興味の一貫性・自己への優しさを高く保つことに繋がり、コロナ禍でも落ち込みにくい、また、落ち込んでしまったとしても回復しやすくなることが考えられます。
新型コロナ感染症と心理的レジリエンス
新型コロナウイルスの影響でテレワークへの移行や外出自粛が強いられた結果、多くの人が生活スタイルが劇的に変化し、精神的に不安定になりやすい状況になりました。
このような状況下では「心理的レジリエンス(回復力・再起力)」の重要性がますます高まってきているといえます。
心理的レジリエンスとは、「逆境や困難、強いストレスに直面したときに適応する精神力と心理的プロセス」と定義される心理学用語のことです。
精神的なストレスによって生まれた心理状態がメンタルの不調を引き起こしたり、仕事の生産性に影響を及ぼしたりすることが明らかになっております。その対処法として「心理的レジリエンス」が注目されていました。
新しい働き方や対人関係によるストレスが原因で起こるさまざまな心理状態に対して、1人1人がセルフマネージメントする必要があり、心理的レジリエンスがますます重要になってきています。
心理的レジリエンスは誰にでもあり、誰にでもあり鍛えることができます。実際、訓練によって後天的に鍛えられることもわかっています。普段から意識的にメンテナンスとトレーニングをしておくことが大切になります。
最後に
今回は、コロナ禍におけるポジティブ心理学の重要性についてご紹介しました。
現代社会では、コロナウイルス感染症による恐怖や新しい働き方や対人関係により、ストレスや不安を感じる方が少なくありません。このような現状の中ではしっかりメンタルケアをすることが大切になります。
そのため、弊社ではメンタルヘルスを保つためのポジティブ心理学の講座を企業・団体・組織に開催しております。一人ひとりが現代社会のストレスや不安で心理的問題を引き起こさないよう、メンタルケアやセルフマネジメントをするための手法をお伝えしております。
遠慮なくお気軽にお問い合わせください。