キャリアコンサルタントとコーチングは何が違うの?
2024/03/21
キャリアコンサルティングとコーチングは何が違うの?
キャリアコンサルティングとコーチングの違いについて考えてみました。
キャリアコンサルティングとコーチング
新年度を迎え、新入社員やまたご異動などで新たな世界で、そして新たな人間関係の中での生活が始まる方も多いのではないかと思います。
そして、今後の時間の流れの中で、様々な課題も出てくるかと思います。そのような時に課題解決するためのご支援としてのキャリアコンサルティングとコーチングを考えてみたいと思います。
キャリアコンサルティングとコーチングってなにが違うの?ということで、考えてみました(あくまでも個人的な見解です)
キャリアコンサルティングの重要な役割の一つは、クライアントが自分のキャリアに関する明確な目標や方向性を見出す手助けをすることです。では、どこに行けばキャリアコンサルタントに会えるのでしょうか。多くはハローワークでのキャリア支援、または、各企業がキャリア支援室などでキャリアコンサルタントの国家資格を有する職員を配置して「キャリア支援」をしている場面が多いと思います。このように、キャリアコンサルタントの活動の場は限られており、一般の人々がアクセスしにくい場合があります。勿論、キャリアコンサルタントの中には、キャリアコンサルタントとして多くのクライアントさんの支援や企業領域でご活躍されている方もいますが、かなり限られているのではないかと想像します。
一方で、コーチングは広範な業界や個人にサービスを提供することが一般的であり、そのためにより広く認知されています。
歴史的背景
キャリアコンサルティングとコーチングの歴史的背景
キャリアコンサルティングは、20世紀初頭に産業革命の影響を受けた労働者の職業適性や就業機会の指導を目的として発展しました。初期のキャリアコンサルティングは、職業訓練やキャリアガイダンスを提供する公的機関や学校で行われていました。その後、個人のキャリア開発や職業適性の評価に特化した民間のキャリアコンサルティング業界が成長しました。日本では、1993年に日本進路指導学会(現日本キャリア教育学会)が日本で初めて「キャリア・カウンセラー資格」を認定し、キャリア・カウンセラーの民間資格としてスタートしました。2016年にキャリア・コンサルタント国家資格に格上げされ、国家資格を有していないと「キャリア・コンサルタント」を名乗れないとする「名称独占」となりました。
一方、コーチングは20世紀後半に米国で発展しました。最初はスポーツコーチングやビジネスコーチングとして始まりましたが、1980年代にはパーソナルコーチングやライフコーチングとして広まりました。コーチングは、個人の成長や目標達成に焦点を当て、クライアントが自らの潜在能力を最大限に引き出すことを目指しています。コーチング資格は民間資格であり、様々な民間団体が資格認定を行っています。
※コーチングとは、「大切な人を、その人が望む場所へ送り届けてあげること」であり、まさに馬車(コーチ)が由来です。
違いは何?
キャリアコンサルティングとコーチングの違いは何なの?
キャリアコンサルティングは、クライアントが自身の職業的な目標を達成するために支援するサービスです。クライアントとの対話を通じて、彼らの興味、価値観、スキル、経験などを考慮し、適切なキャリアパスを特定するプロセスです。キャリアコンサルタントは、職業適性の評価、職業情報の提供、キャリアプランの策定、職業適応スキルの開発などを通じてクライアントをサポートします。まさに「仕事に関するキャリアデザイン」関わるものです。
一方、コーチングはクライアントが自己成長や目標達成に向けて自己探求をするプロセスを支援するサービスです。コーチングは、クライアントが自らの潜在能力を最大限に引き出し、自己理解を深めることを促進します。コーチはクライアントと対話し、洞察を提供し、クライアントが自らの解決策や行動計画を見つけるのを支援します。
両方のアプローチ共に「自己理解」「自分を知ること」重要なことであり、それぞれの魅力があります。とは言っても、クライアントが自ら問題解決できるように「寄り添い」「傾聴し」クライアントが課題解決の方策を見つけられるよう支援することを考えると同じスタンスの上に立っていると言えるのではないかと思います。
なぜコーチングは有名なのか?
なぜコーチングの方が有名なのでしょうか。
●コーチングはクライアントに焦点を当て、自己探求を通じて自己成長を促すことが特徴です。このパーソナルなアプローチは、個人の成長や自己実現に対する需要が高まっている現代社会において注目を集めやすい状況になっています。
●コーチングには多くの有名なメソッドやフレームワークがあります。たとえば、GROWモデルやコーチングのコアコンピテンシーなどがあります。これらのメソッドは広く認知され、実践されています。
●有名な経営者やパフォーマーなど、成功を収めた人々がコーチングを利用しているという事例が広く報じられています。これらの成功事例がコーチングの価値を裏付け、その知名度を高める一因となっています。
なぜキャリアコンサルタントが国家資格として認定されているにもかかわらず、コーチングのように社会に浸透していないのでしょうか。
●キャリアコンサルタントの国家資格が認知されているとしても、その存在や役割についての理解が不十分である場合があります。活動の場は限られており、一般の人々がアクセスしにくい場合があることも要因でしょう。
●コーチングは個人の成長や目標達成に焦点を当てたサービスとして認識されており、個人のキャリアやライフスタイルに関するニーズに応えるとされています。一方で、キャリアコンサルティングのニーズや役割が明確に認識されていない状況が正直あります。
●コーチング業界は一般にマーケティングやブランディングがきちんとされており、自己啓発書やセミナー、SNSなどを活用して自身のサービスを広く宣伝しています。一方で、キャリアコンサルティングの業界はこれらの面で活発な取り組みが不足しているのではないかと思います。
●コーチングとキャリアコンサルティングは異なるアプローチやサービスを提供していますが、一般の人々がその差異を理解していない場合があります。したがって、コーチングの方がより個人的で魅力的なサービスとして認識されている可能性があります。
これらの要因により、キャリアコンサルタントの国家資格があるにもかかわらず、コーチングの方が社会に浸透していると言えます。キャリアコンサルタントの業界がこれらの要因に対処し、認知度を高めるための努力を強化し、その浸透度を向上させることが必要であるとキャリアコンサルタントの私として自戒を込めて考えます。
次回は、キャリアコンサルティングのステイタスを向上させるためには、具体的にどのようにしたらよいかを考えていきたいと思います。