「家事・育成・介護」と「仕事」のバランスを男女共同参画白書(令和2年版)を見ながら分析してみた
2021/03/26
こんにちは。
株式会社マルション・アンサンブルのブログです。
これまでに、働き過ぎ防止や仕事と家庭の両立などの「家事・育児・介護」と「仕事」のワーク・ライフ・バランスの取り組みが行われてきました。
しかし、日本では女性が「家事・育児・介護」の多くを担っている状況は未だ変わっておらず、「仕事」の働き過ぎの問題も改善されたとは言い難い状況です。共働き世帯や核家族など家族の在り方が変化するなかで、「家事・育児・介護」と「仕事」のバランスについて考えることは重要となっています。
今回は、「家事・育成・介護」と「仕事」のバランスを 男女共同参画白書(令和2年版)を見ながら分析してみました。男女共同参画書を分析し、「家族・育児・介護」と「仕事」のバランスの現状や課題を把握することで、より良い「ワーク・ライフ・バランス」を見直していきましょう。
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目次
- ○ 「家事・育児・介護」と「仕事」のバランス
- ・働き過ぎ問題
- ・女性が「家事・育児・介護」を担っている問題
- ○ 「家事・育児・介護」と「仕事」の現状
- ・家事の時間
- ・育児の時間
- ・「介護の時間」
- ○ 「家事・育児・介護」と「仕事」のバランス改善に向けて
- ○ 最後に
「家事・育児・介護」と「仕事」のバランス
まずは、「家事・育児・介護時間」と「仕事」の推移を男女別・年齢別等で分析してみました。男女別に、労働時間の状況や、生活変化の背景ともなる家族・世帯状況の変化についても分析し、「家事・育児・介護時間」と「仕事時間」の推移との関係を考察してみました。
<出所>
働き過ぎ問題
「日本人は働き過ぎ」ということを聞いたことがあると思いますが、「残業は当たり前」などの風潮から、男女ともに働き過ぎの傾向があります。
「仕事等時間」の推移を男女の年齢別に見てみると、女性は25歳~29歳で変化が特に大きく、1976年の3時間19分から2016年には、5時間37分と1.7倍に増加しています。男性の場合は、1976年から横ばい状態となっており、特に20代、30代が最も多い8時間20分前後となっています。
「世界各国に比べても日本は働き過ぎ」と言われているように、男女別にみた仕事時間の推移からも日本人は総じて働き過ぎていることがわかります。
女性が「家事・育児・介護」を担っている問題
「家事・育児・介護時間」の推移を男女の年齢別にみると、女性が「家事・育児・介護時間」は変わらない、または増加していることがわかります。
女性は30代が1981年以降ずっと最長であることがわかります。晩婚化や未婚化により25~29歳は大きく減少していますが、40代、50代、60~64歳は横ばい、65歳以上のみ増加傾向にあります。一方、男性はどの年齢も少しずつ増加しているものの、女性に比べてかなり時間が少なくい結果となっています。
また、妻の「家事・育児・介護時間」は、共働き、夫有業・妻無業世帯のどちらも増加しています。共働き世帯の妻の「仕事時間」は4時間~4時間20分で夫の5割程度で、夫の「家事・育児・介護時間」は妻の就業状況による差がありません。「仕事等時間」は妻の就業状況に関わらず、8時間40分~9時間前後です。
取り組みや政策は行われているものの、昔から変わっておらず、妻は「家事・育児・介護」に、夫は「仕事」に多くを使っている状況は変わっていないことがわかります。
「家事・育児・介護」と「仕事」の現状
では、「家事・育児・介護」と「仕事」の現状について、家事の時間、育児の時間、介護の時間の切り口で確認していきましょう。
<出所>
「家事・育児・介護」と「仕事」のバランス ~個人は,家庭は,社会はどう向き合っていくか
家事の時間
まず「家事の時間」の状況では、仕事をしている人の「仕事のある日」を見ると、女性の「家事時間」は家族類型により大きく異なりますが、男性の場合は、家族類型によりそこまで異ならない傾向があります。これは、単独世代では、男女差はほぼないが、夫婦になると、女性は男性の2倍以上になることがわかります。
また、家事・家庭のマネジメントのほとんどの項目において、「妻」「どちらかというと妻」が約5割以上を占めていることがわかります。
育児の時間
次に「育児の時間」の状況では、「夫婦+子供世帯」で仕事をしている人の「仕事のある日」を見ると、「育児時間」は女性が男性の1.2~2.7倍程度になっています。
また、小さい子供がいる夫婦で、夫の育児分担割合は、約3割で、妻の育児分担は子供が成長したとしても負担は軽くなっていないことが分かります。妻は日常的に育児をし、夫が週1~2回、月に1~2回など限定的な場面で関わる傾向があります。
「介護の時間」
最後に、「介護の時間」の状況では、女性は育児に加えて介護を担う状況が生じても、介護分負担が増えるのではなく、家族ケア全体の一部になることから、ライフワークバランスはそれほどわかりません。しかし、男性の場合だと、育児と介護両方を担う状況が生じた場合は、「仕事等時間」を短縮して、家事・育児・介護に時間を充てています。
介護者全体に占める男性の割合は2016年で39.7%で増えていることがわかります。
同居の主な介護者を続柄別に見ると、「子の配偶者(女性)」が1998年の27.4%から2016年の16.3%へと大きく減少している一方で、「息子」及び「夫」が増加していることがわかります。
また、30歳未満の男性介護者は、直近の5年間で、仕事を持つ割合やフルタイム勤務の割合が大きく低下しています。このことから、この年代の男性介護者における仕事と介護の在り方が短期間で大きく様変わりしている可能性があります。
「家事・育児・介護」と「仕事」のバランス改善に向けて
仕事がある日に育児・家事・介護時間が長いと、生活満足度の低下や、ディスストレス(抑うつ・不安)が強い傾向が見られ、生活の質を下げることにつながる可能性があります。
「子育てをしながら仕事を続けることは大変だから」という理由で、妊娠・出産を機に仕事を辞める人が多く、子供が成長したとしても「正社員でフルタイム勤務」を希望する女性は少ない状況となっています。
介護と仕事の両立については、介護が必要な親の有無に関わらず、男女ともに7割以上が「仕事を代わってくれる人がいない」「介護就業制度等の両立支援制度を利用すると収入が減る」などの不安を感じています。
このように、「家事・育児・介護」の負担が女性に偏り、生活満足度等への影響、就業継続や仕事との両立の難しさにつながっている状況を改善するには、男性に期待されている「仕事」の在り方や男性自身の「仕事」への向き合い方や、男性の「家事・育児・介護」への参画を進めていくことが必要になってきます。また、「家事・育児・介護」を家庭内で分担するだけでなく、担い手の多様化や多様な外部サービスなどを活用することが大切になります。
女性の「仕事」をする役割を確保し、男性の「家事・育児・介護」を担えるようにしておくことは、家庭単位で見るとリスクヘッジになります。
最後に
今回は、「家事・育成・介護」と「仕事」のバランスを 男女共同参画白書(令和2年版)を見ながら分析してみました。
日本では、ワーク・ライフ・バランスに関する取り組みにより、仕事と生活の調和する政策が行われてきましたが、女性が「家事・育児・介護」、男性が「仕事」という状況はまだまだ強く根付いています。しかし、今後、近代家族が崩壊し、家族の在り方が変化していくなかで、男性が「家事・育児・介護」を担い、女性も「仕事」を確保していくことが、家族でのリスクヘッジに繋がります。
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