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昔読んだ『イワンのばか』から考える

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イワンのばかと経験からの学び

イワンのばかと経験からの学び

2026/10/20

昔読んだ『イワンのばか』から考える

経験は、物事を見る目を養い、曇らせることもある

NHKの朝ドラで、トルストイの『イワンのばか』の本の名前が登場しました。

この作品は、私も子どもの頃に読んだ記憶があります。しかし、どのような物語だったのか、詳しい内容はすっかり忘れていました。

改めてあらすじを振り返ってみると、権力を求める兄、財産を求める兄、そして周囲から「ばか」と呼ばれながらも、ひたすら働き、争わず、人に分け与えるイワンの姿が描かれています。

何をもって賢いとするのか。何をもって豊かとするのか。

そんな問いを投げかける物語だったのですね。

子どもの頃には、きっと素直で働き者のイワンが幸せになる物語として読んでいたのかもしれません。

しかし、今、同じ作品を読めば、また違ったことを感じるのではないでしょうか。

本は変わらないのに、読む自分が変わっている。

長い年月の中で、さまざまな人と出会い、仕事をし、成功も失敗も経験してきました。

そうした経験の蓄積が、文章の一つひとつを自分自身の人生と結びつけ、新たな理解につながっていくのだと思います。

そして、そこからもう一つ、興味深いことに気づきました。

経験は、物事を見る目を養うと同時に、物事を見る目を曇らせることもある。私たちは、経験を重ねることで知識や判断力を身につけます。

しかし、その経験が、知らず知らずのうちに「以前はこうだった」「これが正しいはずだ」という思い込みを生み、新しい考え方や可能性を見えにくくしてしまうこともあります。

いわゆるアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)にもつながることですね。

これは、企業経営や組織づくり、人材育成においても大切な視点だと思います。

経験豊富なリーダーほど、過去の成功体験を判断の拠り所にすることがあります。それ自体は決して悪いことではありません。しかし、環境も人も、時代とともに変わっていきます。

だからこそ、自分の経験を大切にしながらも、「本当にそうだろうか」「別の見方はないだろうか」と問い直す姿勢が必要なのではないでしょうか。

リーダーに必要なのは、自分の判断が正しいと信じる力だけではなく、その判断が間違っているかもしれないと気づく力である。そんなことも考えました。

そして、もう一度『イワンのばか』に戻ってみると、子どもの頃の自分には、今の自分にはない、先入観の少ない素直な見方があったのかもしれません。

経験を積んだからこそ見えるものがあり、経験を積んだからこそ見えなくなるものもある。

人間とは、なかなか興味深いものですね。

朝ドラの中で紹介された一冊の本から、思いがけず、ここまで考えが広がりました。

問いは、答えだけを連れてくるとは限らない。問い続けていると、思いがけない場所へ自分を連れていくことがある。これもまた、セレンディピティなのかもしれません。

久しぶりに『イワンのばか』を読み返してみたくなりました。

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